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特別インタビュー Vol.8 前編 ー 父の子育て ー

最近、英語学習AIロボットMusio(ミュージオ)が家庭や教育現場に少しずつ浸透しています。

そこで、様々な方にご登場いただき、英語教育改革や子供教育×AIについての可能性や、AIと共存していくことになるであろう未来について探っていきたいと思います!

今回は第8弾として、10年後、20年後の劇的に変化するであろう未来に向けて、スタートアップ企業の育成や子供教育のアップデートにご尽力されているMistletoe株式会社 代表取締役社長兼CEO 孫 泰蔵氏にご登場いただきます!

今回はロングインタビューのため、2週にわたり前編と後編に分けてお届けします♪
前編では、孫正義氏や孫泰蔵氏を生んだ孫家の子育てについて、後編では、未来の世界とそこで生き抜いていくための子供教育、そして泰蔵氏が大切にしていることについてお話していただきました!

お子さまがいらっしゃる方はもちろん、何かに悩んでいたり迷われている方や自分を変えたいと思われている方も、ぜひ最後まで読んでみてください!

 

Lily:泰蔵さんは、主に起業家や投資家としてご活躍されていらっしゃると思いますが、今回は子供教育についてお話をお伺いしていきたいと思います!

まず泰蔵さんの核となっている子供の頃についてお伺いできますでしょうか。
どのようなお子さんで、どんなことに興味があり、どのような経験をされてきたのでしょうか。

 

孫家の教育方針①:「褒めて、信じて、自信をつける!」

1972年生まれ。佐賀県出身。東京大学在学中に Yahoo! JAPAN の立ち上げに参画。その後、インターネットのコンテンツ制作、サービス運営をサポートする会社を興す。2002年、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社を設立、デジタルエンターテインメントの世界で成功をおさめる。その後も、様々なベンチャーの創業や海外企業との大型 JV など、ある時は創業者、ある時は経営陣の一人として一貫してべンチャービジネスに従事した後、2009年に「2030年までにアジア版シリコンバレーのベンチャー生態系をつくる」として、スタートアップのシードアクセラレーター MOVIDA JAPAN を設立。2013年、単なる出資にとどまらない総合的なスタートアップ支援に加え、自らも事業創造を行う Mistletoe 株式会社を創業。21世紀の課題を解決し、世の中に大きなインパクトを与えるようなイノベーションを起こす活動を国内外で本格的に開始。ベンチャーの活躍が、豊かな社会創造につながることを目指している。

 

泰蔵氏:僕は福岡県に生まれて、佐賀県の鳥栖市で育ちました。
田舎育ちで、野山をかけまわっていましたね。
4人兄弟の末っ子で、親が3人いるみたいでした(笑)

 

Lily:お兄さんが3人もいらっしゃると大変そうですね!笑

あるインタビュー記事で、お父様の「学校の先生は、時々ウソを教えるぞ!先生の言うことは聞くな」という言葉が印象的だったと拝見しましたが、この他にご家庭で大切にされていた教育方針はありましたでしょうか。

 

泰蔵氏:父と母は、とにかく褒めまくるという方針でした。
例えば、学校でよく10問くらいの小テストで満点を取ると「うおぉ、お前は天才だ!」と言われ、「でも、みんなも満点とってるよ」と言うと、「いやいや、お前、そんな連続でとれへんよ」と言っていました。
また、図画工作の時間に描いた絵を持って帰ると、「うおぉ、ピカソのごたる(ピカソのようだ)」と言って、額に入れて家の中に飾っていました。

子供心に「いやいや、そんな才能ないよ」と思うのですが、あまりにもずっとそう言われ続けると「あれ、俺ちょっとそうかな」とちょっといい意味で勘違いするようになりました。

何かをやると親が喜んでくれるというのは子供にとって素直に嬉しいものなので、「そんなに喜んでくれるんだったらもう少し頑張ろうかな」と自然に頑張るようになりました。
大人になってから父に聞いたんですが、「子供には、徹底的に自信をつけないといけない!」と言っていました。自信というのは自らの才能や価値を信じるということですが、自分自身を信じるってなかなかできないことですよね。
だからこそ、一番身近な家族がとことん信じてくれていれば、自然と自分を信じれるようになるんですよね。

そういう環境を父はつくってくれていたそうです。
これは、現在の自分の子育てや一緒に働く人たちに対して意識するようにしています!

 

Lily:自分を信じることは本当に難しいですよね!
褒めることには、そういうパワーもあるんですね!!

大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げに参画されていますが、Yahoo!創業者のお二人(Jerry YangさんとDavid Filoさん)に出会った時のことを教えていただけますでしょうか。

 

泰蔵氏:僕は大学に入るのに二浪したこともあり、入学したころには燃え尽きていました。
全く勉強をする気が無く、友達とバンド活動に打ち込んでいました。

父からは「泰蔵、お前もね、男に生まれたんだったら志高く熱く生きないといかんばい」とよく言われましたが、志と言われてもピンとこなかったんですよね。

ただ、その当時でも、せっかくの一度きりの人生なので何かコレというものに情熱を注いで生きられたらいいなということは純粋に思っていました。
でも、20年かそこら生きてきたくらいで何ができるわけでもないですし、そもそも何がしたいかわからないということで悶々としていたんですね。

そんな時に、JerryさんとDavidさんというYahoo!の創業者の2人に出会いました!

Yahoo!はもともと、スタンフォード大学院の自由研究から生まれました。
その当時、アメリカでもまだ「検索エンジン?!なんだそれ」といった存在だったので、Jerryさんはよく「Yahoo!はニュートンの前に林檎を落とす存在なんだ」という表現を使っていたんです。

どういうことかというと、ニュートンが歩いている時に目の前に林檎がポトっと落ちたから万有引力が発見されたといわれていますが、彼らは、「これからはインターネット上で人間の知識や知恵や叡智が共有される時代になる。しかしながら、情報をすぐに引き出すことができなければ持っていないのと同じことになる。これは、未来のニュートンやエジソンのような素晴らしい発明家にとって、ものすごい損失になる。インスピレーションのある人に情報を提供するのがYahoo!だ」と言っていたんです。

僕は、それを聞いてガビーンとショックを受けましたね。
めちゃくちゃすごいことをやっているなと思いました!
自分と4歳くらいしか歳の変わらない大学院生たちが、そんなことをやって世界を変えようとしているということにすごく感動し、人生で初めて興奮して寝られないという体験をしました。

ちょうど、就活の時期で自分のやりたいことは何なのかと悶々と考えていた時だったので、これから世界が変わろうとしているのにこんなことしている場合じゃないなと思いました。

でも、何をしていいかわからなかったので、まずは日本版のYahoo!をたち上げる手伝いを申し出ました。
そこから、僕の人生は大きく変わっていきました。
この2人との出会いがなければ、僕は今、起業家にはなっていなかったかもしれません。

人との出会いというのは、本当に人生を変えるくらいのきっかけになりますね。
僕はそれを信じていて、これまでもいろんなことをやってきましたが、振り返ってみると異質な人たちを結びつけて何か新しいものを生み出すということをやっていたんだなと思います。

 

Lily:人との出会いは本当に何が起こるかわからないので不思議ですよね!

泰蔵さんが世界の起業家の方々に接してこられた中で、「自分で工夫して切り拓く力を身につける上でもっとも大切なことは、人生のできるだけ早くに、自分で何かが変えられるということを実感すること」とお話された記事も拝見しましたが、実際に泰蔵さんが子供のころや人生の早い段階でそういったご経験をされたことはありますでしょうか。
印象に残っているエピソードも教えてください!

 

孫家の教育方針②:「リアルな学びを体験させる!」

泰蔵氏:僕の場合は、父がそういう環境を提供してくれました。

父は、飲食店や不動産業など自営業でいろんな事業をしていた人でした。
父はいつも新しいアイデアを考えて、やろうかなと決めたら案を練るんですね。
その時に、自分の息子たちに「お前だったらどうする?!」と本気で聞いてくるんです。

例えば、お店を開くことになると、僕たちを現場に連れて行って更地になっているところで白地図を広げ、「今いるところはココで、こっちに国道3号線っていうのが走っていて、ここに大きな駅があるんよ。こっちには団地があって1万人くらい住んでて、競争相手はこことここにいるんよ。こっちのお店はすごく繁盛していて、もう1店舗のこっちのお店は最近できたけどあんまりうまくいってない。この辺りに新しくお店を出したいんだけど、どうやったら地域一番のお店になれると思う?!何かいいアイデアないか?!」というのを本気で小学校4.5年生の僕に聞いてくるんです。

「えー、わかんないよ」ってなるじゃないですか!笑
でも、単なるケーススタディとは違い、ここで本気で考えて良いアイデアを出さないと家計にものすごく影響があるかもしれないと思い、「ちょっと競争相手のお店見に行こうよ」と言って父と一緒に偵察しに行ったりしながらいろいろ考えました。

また、新聞の折り込みチラシをつくることになった時は、父に「ちょっとお前デザイン描いてくれ」と言われ、「えー?!」(泰蔵氏)、「お前、絵うまいやんか」(父)なんて言いながら新聞の折り込みチラシの裏面が真っ白だったので、父に「ちょうどこのサイズだな、なんぼでもあるぞ」と言われ、一生懸命スケッチを描きました。

僕はその時、今でいうクーポンをチラシにつけることにしました。
切り込み線を入れて、これを持ってきたらビール一杯タダですと書いたんです。
それを見た父がまた「お前は天才だ!」て言いながら本当にそのまま印刷所に持って行って印刷しちゃったんです。
フォントだけは写植されていましたが、絵柄は本当にそのまま印刷されました。

明らかに小学生が描いている絵っていうのがわかるんですが、本当にお店に持ってきてくださる方もいました。
もしかしたら商業的なチラシの中で逆に目を引いたのかもしれないですね。

他のお客さんも「小学生を募集したんですか」って声をかけてくれて、父が「いや、うちの息子が描いたんですよ」と言うと、「上手だね、うちのお店のチラシも描いて」と言ってくれたんです。
地方だったので人と人との距離も比較的近かったからかもしれませんが、それでもうかなり自信がつきました!

このように、リアルな場でチャレンジできる環境が僕の周りにはあったので、学びのための学びではなく、子供たちには本当に役に立つことをどんどん挑戦・体験させてあげたほうがいいと自分の経験からも感じました。そこで今年の3月に、新しい学びの場を提供できるような教育事業を開始しました。

 

Lily:先日も柏の葉T-SITEでVIVITAさん主催のイベントがありましたよね?!
泰蔵さんご自身のFacebookでも「とても感動した」と投稿されているのを拝見しました!
その時の様子もお伺いできますでしょうか。

 

泰蔵氏:いやー、本当に感動しました!

ロボットコンテストを開催したんです。
制限時間内にどれだけボールを持ってこれるかを競い合うというシンプルなルールのロボコンでしたが、小学生が作ったとは思えないようなロボットが参加していて驚きました。
優勝した子のロボットには、なんとダイソンのような吸引するための吸引機が搭載されていたんです!
これはアイデアとしては浮かんでも実装するのは非常に難しいんです。

その子は夏休みに入ってから週に5日間もVIVISTOP柏の葉に通い、朝から晩までずっと改良し、なおかつこの吸引機だけでなく、もう一つロボットアームのようなものをつくってダブルで取り付けました。
普通1個つくるだけでも大変なのにダブルでつくって取り付けて、実際に2個同時にボールを取って得点を稼ぎ、優勝しました。

「なんで吸引機構を2個つくらなかったの?!」と質問したら、「サーボが重くて電力をすごく食うから2個つけると充電が持たない。設置されるボールの高さも違うから、ボールを同時に2個取るなら別の機構にしたほうがいい」と答えたんです。
もうすごいですよね!小学4年生ですよ!

表彰式の際に「優勝おめでとうございます、今後の抱負をお願いします!」と言ったら、普通だったら「次はもっといいロボットをつくりたいと思います!」とかって言うと思うんですけど、彼は「今回はソロプレイだったので協力してやる企画、コラボレーションしてやる種目をつくりたいと思います!」と言ったんです。
えっ?!種目つくっちゃうの?とその場にいた大人たちはみんな驚いていました。

おそらく、ほとんどの子どもたちが初めてロボット作りを体験したと思うのですが、そのものに没頭するだけでなく一歩ひいて考えることができる、種目さえつくっちゃうという発想ができるのがすごいなと本当に感心しました。
柏の葉T-SITEにオープンしたVIVISTOP柏の葉は、オープンしてまだ6ヶ月程度ですが、とても手応えを感じました。

 

Lily:初めてロボットをつくったとは思えないですね!!

いまのお話にもありましたが、今年の3月から、Mistletoe株式会社さんとしてCCCさんとの合弁会社T-KIDS株式会社や、VIVITA株式会社で教育事業を展開されていますよね!
きっかけとなったのは現在の子供教育に疑問を感じ始めたからとのことですが、どのような疑問を抱かれたのか教えていただけますでしょうか。
(T-KIDS株式会社 代表取締役社長 尾花氏の「特別インタビューVol.4 -AI×子供たちの未来を変える学び-」はこちらから。
) 

 

こちらの続きは、次週アップしますのでもう少々お待ち下さい!
後編では、未来の世界やそこで生き抜いていくための子供教育についてお届けしますのでお楽しみに!!

泰蔵さんからみなさまへのメッセージもいただいていますよ♪

 

 

これまでのバックナンバー

・「特別インタビューVol.1 -AIを活用した新しい国づくりを-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.2 -AI×東京英語村-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.3 -AI×発信力を高める授業-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.4 -AI×子供たちの未来を変える学び-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.5 -髙島屋×ロボット-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.6 -ロボットとの共存への扉-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.7 -ロボットのいる生活-」はこちらから。

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