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特別インタビュー Vol.5 ー 髙島屋×ロボット ー

最近、英語学習AIロボットMusio(ミュージオ)が家庭や教育現場に少しずつ浸透しています。
そこで、様々な方にご登場いただき、英語教育改革×AIについての可能性や、AIと共存していくことになるであろう未来について探っていきたいと思います!

今回は第五弾として、常に新しい商品や体験を通して新たな価値をご提供し、近年では、積極的にロボットを通してお客様への新しい価値提供にもご尽力されている株式会社髙島屋 MD本部セントラルバイヤー 田所氏にご登場いただきます。

 

Lily:早速ですが、田所さんが髙島屋さんにご入社されたきっかけを教えてください!
 


田所氏:百貨店は様々な商品を取り扱っているので、その時の人生のステージに合わせた商品や、その商品を通して新たな体験を提供できると考えています。
百貨店は、人生の中の晴れの日に寄り添う商品・体験だけでなく、情報発信も含め、暮らしの中での様々な場や新しい価値も提供しています。

もともと、子供の頃に、
お祝い事やイベント、プレゼントなど、何かある毎に百貨店へ連れて行ってもらった体験が、髙島屋へ入社したきっかけになったと思います。
生まれてから入学・卒業を繰り返し、成人式を迎え大人になり、そこから多くの方が結婚や出産を経験し、また還暦を迎えるなど、お客様の人生と共に歩める仕事であることに魅力を感じました。

次に、「なぜ、百貨店の中でも髙島屋を選んだのか」ということですが、多くの方々は髙島屋に対してコンサバティブなイメージを持っていらっしゃるとは思いますが、髙島屋は軸が全方位で偏りがなく、また全国展開しているのも特徴なんです。
関東・関西だけでなく、他の国内地方や海外でも店舗展開していますし、ショッピングセンターを運営している関連子会社もあります。
ですので、収益の面においても他の百貨店さんとは一線を画していると思いました。

 

Lily:髙島屋さんは、地元のみなさまに愛されているイメージです!
髙島屋さんにご入社されて、どんなお仕事に携わってこられたのか教えていただけますでしょうか。

 

田所氏:僕は、もともと子供服を扱う部門にいて、ファッション関連商品の販売からスタートしました。
その後、子供関連の商品全体を取り扱うようになり、10年ほど前から仕入れを担当しています。
取り扱っている商品は、おもちゃ、キャラクターグッズ、文房具、季節人形など様々なものがありますが、僕の本職はおもちゃなんです!

 

Lily:おもちゃのご担当なのに、なぜ様々なロボットをお客様に広めようとされていらっしゃるのでしょうか?

 

田所氏:ロボットを取り扱おうと思った理由は、もともとAIBOをはじめとするロボットを取り扱っていた実績がある点と、近年、販売開始されたPepperを筆頭に、AIやクラウドを活用した感情を持ったり学習できたりするロボットが増えてきて、ロボットが自分たち(=消費者)の生活に関わっている未来がイメージできるようになってきた点です。

もともとAIBOが全国的に売れた時、同じ部署の先輩バイヤーが取り扱っていたこともあり、ロボットはおもちゃの延長で担当アイテムなんです。
当時、AIBOはとても売れていたので印象に残っています。
AIBOは全てが新しく、未来を感じさせてくれるアイテムでした。
そして、感情移入できる対象としても親しまれていたと思います。

もともと百貨店とロボットの親和性は低いですが、ロボットを通して新しい体験提供や、効率化につながることでお客様の暮らしをより便利にサポートできるアイテムとして考えています。

 

Lily:現在でも、AIBOを大切にしているユーザーさんは多いですよね!
先程も少しお話していただきましたが、髙島屋さんと他の百貨店さんの違いを、全国・海外展開している点や収益の点以外にも教えていただけますでしょうか。

 

田所氏:髙島屋が、他の百貨店と比べて新しいことに取り組んでいるイメージはないですよね?!
大多数のお客様に受け入れてもらえるようなことに取り組んでいるイメージがあるのではないでしょうか。

でも、実は、Newなことが大好きで、昔からNewなことに取り組んでいるため、そういった歴史もあるんです。

髙島屋の始まりは古着木綿商ですが、そこから百貨店になったのではなく、実はその間に貿易会社も設立していたんです。
当時は、海外から買い付けに来られた方に日本製品を販売し、輸出していました。

また、現在ではいたるところにある100円ショップですが、均一ショップの先駆けとなる10銭ショップも展開していました。
戦前ですが、その10銭ショップは全国に100店舗以上構えていたんです。

戦後でいうと、二子玉川の髙島屋は、日本初のショッピングセンターなんです。
また、1997年に楽天市場が始まりましたが、実は、同年、髙島屋でもネットショッピングを実施していたり、近年では、いたるところで開催されている海外の洋服やお土産などを展開する海外催し物展も髙島屋が一番最初に取り組み、当時はイタリア展を実施しました。

1831年に創業した髙島屋ですが、常に文化やアートなどにも触れながら、新しいものを取り入れ、お客様にご提供してきました。
ロボットも例外ではなく、ASIMOの展示を実施したのも、アンドロイドの展示を実施したのも、また、ミナミちゃんというアンドロイドで接客したのも、実は全て初期の頃から髙島屋は取り組んでいます。

髙島屋ってコンサバティブなイメージなのに、意外ですよね?!
髙島屋は、新しい生活価値の提案の可能性があれば、常にチャレンジして取り入れていく社風なんです。
常に新しい価値を創造し、お客様へお届けすることを意識しています。

 

Lily:髙島屋さんがNewなことが好きで積極的にお取り組みされてきている事は、正直、とても意外でした!笑
そういった新しいお取り組みをされてきたのも、髙島屋さんが地元の方々に愛されている理由の一つなんですね!
ここ数年、百貨店業界は厳しいと言われていますが、現場で実際に感じていらっしゃることはありますでしょうか。

 

田所氏:担当している子供関連の商品でいうと、実は子供を基点とした消費は伸びているんです。
子供関連市場は拡大していて、教育や旅行など、祖父母の方々がお孫さんやそのご両親へ、ご両親がお子さんへというかたちで、3世代で消費が伸びています。

ECでも百貨店でも同質化してしまっている部分は正直あると思います。
ですが、お子さんを中心に、3世代が来てくれる場であるということは百貨店の強みでもありますので、各地域に合った商品や体験などを提供しながらまちづくりをお手伝いしていきたいと思っています。

各地域に根ざした百貨店の役割が街づくりのお手伝いであるとすると、僕は小さな町づくりを髙島屋内で取り組んでいきたいと考えています。
子供関連の商品担当として、子供たちにとってより良い商品や体験を提供していきたいです。

教育系ロボットのMusioは、まさにその一つですね。
オンライン店舗でも販売していますが、オフライン店舗でしか体験できないですし、しっかりとした説明や安心感も特徴です。

 

Lily:Musioが髙島屋さんと初めてご一緒させていただいたのは、昨年8月に実施されたロボット展でしたが、ロボット展を実施された経緯を教えていただけますでしょうか。 

 



田所氏:まず、社内事情からお話ししますと、夏の集客に向けた催しものを企画することと、題材として髙島屋オリジナル企画であることという2つのミッションがありました。

2年前にPepperが世に出てきた時、そろそろロボットが本格的に出始めるのではないかと感じていたので、昨年、未来がそこにあると感じさせるようなロボットや技術が出てきているタイミングで、どこよりも先に子供たちに体験してほしいと思い実施しました。

とはいえ、当初はシニア層を含め、大人の男性が多くいらっしゃると想定していたんですが、想像以上にお子さんが多く、反響もよかったです。
業務用のロボットなどもあり、わかりづらい展示も多かったとは思いますが、子供たちのロボットに対する関心や興味がとても高く、展示ロボット一つ一つに反応していました。

また、このような展示にはめずらしく、金融関連企業や商社など異業種の方々が多かったのも目につきました。
同業の方々がいらっしゃるのは珍しくないんですが、恐らく、もともとB to B向けの展示会に行かれているような方々が、B to C向けのロボット展がめずらしいということでお越しいただいたのかもしれません。

 

Lily:きっと一般消費者向けのロボット展も髙島屋さんが最初なのかもしれないですね!
田所さんがMusioを知ったきっかけを教えてください!

 

田所氏:たまたまインターネットでロボットについて調べていた時に偶然見つけました。
見た目が可愛らしく、ロボットにありがちな賢そうな見た目ではなかったので、第一印象では本当に大丈夫かなと思いました。
ロボット展の時は、発売前のプロットタイプだったこともあり、いろいろありましたね!笑

でも、僕の気に入ったポイントは、Musioもいろんなことができますが、英会話ができるという明確なウリがあった点です。
時代背景をふまえて商品展開できるものを探していた僕にとって腑に落ちました。
他のロボットは、いろんなことができると説明され期待感は上がりますが、実際に蓋をあけてみると……だったり、一つの機能に秀でているロボットはあまりないんですよね。

Musioは明確な特徴があり、英語教育改革という時代背景の中、英語教育は子供たちにとっても必要なことなので、AKAさんの「Musioの製品版はプロットタイプより良くなります!」という言葉を信じて、少し不安でしたが、昨年の12月にイベントを実施してもらいました。
そこでのお客様からの反応は想像以上に良く、販売実績もでき、こういった商材はお客様に支持されるという自信になりました。

 

Lily:当初よりお世話になり、本当にありがとうございます。
髙島屋さんで、百貨店では初となる体験提供や販売を実施させていただきました。
MusioもAIBOのように、より多くの方々に長く愛される事を願っています。
ロボットに関する今後の展開や構想について、お話できる範囲で教えていただけますでしょうか。

 

田所氏:現段階では、いろんな店舗で取り扱っていく予定としか言えないんです。
主に売り場に直結する話になりますので、時期が来たら公表します。

 

Lily:そうなんですね!公表されるのを楽しみにしています!
ロボットやAI業界について、田所さんがご注目されている点をお伺いできますでしょうか。

 

田所氏:近年、政府は第4次産業革命を推し進めていますが、ロボットやAIはその中心となるアイテムになるのではないでしょうか。

現在の子供が大人になる頃には、さらに少子高齢化が進み、人口が少なくなっていると思いますが、その状況下でロボットやAIだからこその役割があると思います。
ロボットもIoTの一つとして消費者の生活の中で、暮らしを支え変えていくアイテムだと思っています。

IoTはヘルスやスマートハウス、介護など衣食住に関連するものが多くなると思いますが、これらは、もともと関連商品を取り扱っているところではないと最適な提案は難しいのではないでしょうか。
もともとお客様との生活に密接に繋がっている百貨店が、もっと取り組んでいくべきだと考えていますし、同時に、新しい価値を創造し提供していきたいです。

これらは、機能面がフォーカスされることが多いですが、これらの機器を活用して何ができるのかということまで消費者の方々にわかりやすく伝えていきたいです。
髙島屋としてできることも、同様に、時代背景に適した新しい生活価値の創造や提供といったことではないでしょうか。

 

Lily:IoT機器やロボットを生活に取り入れていらっしゃる消費者の方々はまだまだ少ないですよね!
現在の子供が大人になる頃の世の中は大きく変わっていると思いますが、現在、田所さんが普段感じていらっしゃるお客様のニーズや課題を教えていただけますでしょうか。

 

田所氏:お客様のお子さんに対する消費ポイントは、やはり品質が良く、何かしらの効果が期待できるものや目標の実現に繋がるものが多いですね。
現在の子供が大人になったら世間は変わり、職業が変わると言われていますが、社会全体の過渡期だと思っています。
子供に与えるものは非常に重要で、今後はニーズや必要なものが毎年変わっていくかもしれません。

僕にも子供がいるので同じ課題を感じていますが、子供が大人になった時、困らないようなものを見極める必要があると感じています。
おもちゃだけどおもちゃじゃない子供の成長にとって必要なものや、先を見据えたアイテムをどのように提供していくのかが大切だと考えています。

 

Lily:最近、子供教育についてお話を伺う機会が増えましたが、子供に与えるものや体験は難しい課題ですね!
こちらの課題については、改めてインタビュー企画内で触れていきたいと思っています!

本日はありがとうございました!
最後に、読者の方々へ一言お願いできますでしょうか。

 

田所氏:後輩たちを見ていると、1、2歳違うだけでネットリテラシーが高いと感じています。
仕事柄、常にアンテナを張っているつもりですが、世間の動きの速さは肌で感じています。
髙島屋の中にいると、世間のスピードを感じなくなる時もありますが、追い越されないよう意識しています。

髙島屋は、百貨店の型にハマっているところもありますが、日々新しいことを吸収し取り組んでいくことで、より多くの新しい価値を創造・提供し、お客様にご満足いただきたいと思っています。

髙島屋は今後も変わり続ける必要があると思いますし、「髙島屋が変わった」「他の百貨店とは違う取り組みで面白い」と思ってもらえると嬉しいですし、そうなるように今後も引き続き取り組んでいきます。

 

 

これまでのバックナンバー

・「特別インタビューVol.1 -AIを活用した新しい国づくりを-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.2 -AI×東京英語村-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.3 -AI×発信力を高める授業-」はこちらから。

・「特別インタビューVol.4 -AI×子供たちの未来を変える学び-」はこちらから。

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