最近、英語学習AIロボットMusio(ミュージオ)が家庭や教育現場に少しずつ浸透しています。
そこで、様々な方にご登場いただき、英語教育改革×AIについての可能性や、AIと共存していくことになるであろう未来について探っていきたいと思います!
今回は第二弾として、常に新しい学びを提供し続けている株式会社学研プラス取締役の福本氏(兼、株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAY統括本部アドバイザー)と、新しいカタチの英語教育づくりにご尽力されている株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAY 統括本部 本部長の谷口氏にご登場いただきます。
Lily:まずは、読者の方々にお二人のことをご紹介させていただきたいと思います!
学研さんにご入社されたきっかけを教えていただけますでしょうか。
福本氏:私は、1988年に入社しましたので、もうすぐ30年が経ちます。
当時は、バブル期に入っていて活気があり、外国の文化も一気に増えていきました。
当時より、学研は単に情報発信をしたり、狭い意味での教育分野のみのビジネスをしている会社ではなく、多様性を持ったビジネス展開をしていました。
私は、これからの時代になくてはならない役割を担う会社だと考え、入社しました。
谷口くんはどうだった?!
谷口氏:私は、1997年の入社なので、ちょうど20年になりますね。
私の知的好奇心の多くが育まれた場所が書店だったことと、もともと教育に興味があり、教育学部で学んでいたこともあり、どちらの分野でも事業展開している学研に入社しました。
Lily:学研さんは、出版事業でも教育事業でも歴史と実績がありますよね!
実際にご入社されてから感じた学研さんの魅力を教えてください。
谷口氏:私が感じた魅力は大きく分けて3つあります。
まず1つめは、人です。書店、学校、広告、編集(教材・雑誌)、塾など様々な分野の方々が集まっていて、その部署によってもカラーが大きく違い、様々な魅力的なパーソナリティを持った人々が集まっています。
2つめは、先程の福本のお話にもありましたが、事業の幅が広いことです。
そのおかげもあり、私は、この20年間で約8つの部署を経験できました。私の部署異動の多さは社内でもめずらしいですが(笑)
3つめは、自律的なチャレンジを認めてくれる風土があるところです。私が新規事業に携わることが多かったこともあると思いますが、のびのびさせてもらっています。
福本氏:出版・教育事業をやっていることもあり、会社自体が堅いイメージを持たれることが多く、それはそれで光栄なことだと思いますが、ムーやボムといった柔らかい世界観の発行物などもあり、懐が深い会社だと感じています。
また、「学研は何を仕掛けてくるかわからない」とよく言われてきたのですが、常に世の中にワクワクしてもらえるような新しいモノを提供してきたと自負しています。
例えば、業界内でもいち早く、音・光・文字をキーワードに映像や音声を使用した教材を制作してきました。
Lily:私がお会いしたことのある学研社員さんたちも、ホントに皆さん優しくて温かい方々でした!!
では、そんな魅力あふれる学研さんで、今後実現していきたいことをお聞かせください。
福本氏:学校での勉強や受験のための教育だけでなく、カラダとココロすべての教育を実現していきたいと考えています。
ワクワク☆ドキドキするような広い意味での学びの提供をしていきたいです。
中でも、今は大きく2つの事を実現するのに注力しています。
1つめは、次世代型の英語教育です。
学研は、1946年の創業ですが、当時は戦後間もない時期で、現代のようなちゃんとした教科書はありませんでした。
学研の創業者は、「教育がなければ復興はない」と、戦後の日本をいかに民間企業として支えていくかということを考え、事業を営んできました。
時代は変わり、今はグローバル化が叫ばれています。
今までは、日本国内で生活をしていく中では、地勢的なこともあり、コミュニケーションの手段として英語はそれほど必要とされませんでした。
ですが、今後は英語というツールを用いることで、日本の子供たちやビジネスマンをはじめ多くの方がより豊かに、世界中の人々と交流していく時代へと変わっていくと思います。
1つの外国語を習得するには、約2,400時間が必要だという説があるそうですが、学校での英語学習時間はその1/3程度しかありません。
21世紀となった現在も、創業時と同じ精神で、日本の英語教育を民間企業として支えていきたいと考えています。
そして、2つめは、時代に応じた、21世紀型の学びの提供です。
最近、話題になっているSTEM教育、これにアートの要素をプラスしたSTEAM教育が重要だと考えます。
もともと、科学雑誌でサイエンスに関する学びを提供してきましたが、今後はこれを発展させ、プログラミングやAIなど21世紀型の学びを提供していきたいと思います。
地域や収入による教育格差もタブレットなどの遠隔で操作できる新たなツールによって、解消できる可能性が生まれたと考えています。
学研では、事業ごとに会社が分かれているのですが、協業してこれらを実現していこうと動いています。
Lily:学研さんといえば、今年の2月に、英語村(仮称)事業実施に向けて、最優秀事業応募者として選出され、他4社の企業と共に株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAYを設立されましたよね!
ご応募された経緯や想い、実現していきたいことをお聞かせください。
また、可能な範囲で、どんな話合いを進められているか教えていただけますでしょうか。
谷口氏:福本のお話にもありましたように、英語教育に力を入れていきたいという想いと、もともと板橋区立教育科学館(年間約20万人来館)でリアルな学びを提供していたということもあり、昨年3月より東京都で公募開始となったタイミングで手をあげました。
そこからは喧々諤々の真剣な議論で大変でしたよ!笑
私が学研で英語担当になったのは、3年前の2014年でした。
社会人大学のMBAを取得した後、新規事業開発担当として海外出張をしていた時に、ベトナムで銀行の副頭取とお会いする機会がありました。
MBAや事業のお話しをしていくなかで、伝えたいことはたくさんあるのに、伝えられずに悔しい思いをしました。
その海外出張から帰ってきてから、英語教育の担当になりました。そこでいろいろ思うことがありました。
大きく分けると2つあります。
1つめは、コミュニケーション英語が勉強できる場所がほとんどないことです。
英会話教室やオンライン英会話はありますが、時間や内容など制限されることが多いと感じました。
2つめは、この大都会の東京ですら、英語を使える場所がほとんどないことです。
こちらは、百貨店さんや書店さんに「英語だけを使う、英語を使える場所をつくりましょう!」と提案しても、取り合ってもらえなかったり、一時的な実施で終わってしまっていました。
子供たちが授業で英語を習っても使える場所がほとんどないため、必然性が感じられず、英語が好き・得意といった子供たちが少ないのではないでしょうか。
もともと実現させたいと思っていたことが東京都から募集があったので、すぐに応募しました。ちなみに、英語村はTOKYO GLOBAL GATEWAYという名称に正式決定しました!
福本氏:以前から学研でも、英語は大切だから何とかしていこうといくつかプロジェクトもやりましたが、どうしても漠然としてしまい、具体的なカタチには、なかなかなっていませんでした。
そんな中、谷口君は、すごく熱い想いで実現させようとしていました。
谷口くん自身も、1年でTOEICの点数を300点以上上げ、900点になるくらい勉強し、さらにはリーダーシップをとって、仲間を募って着実に進めていった谷口君がいなかったら、今のTOKYO GLOBAL GATEWAYの準備はできていなかったかもしれないですね。
この1年でけっこう痩せたんじゃない?
谷口氏:そうですね。笑
TOKYO GLOBAL GATEWAYでは、ぜひMusioくんにも活躍してほしいと思っています!
Lily:確かに、谷口さん痩せられましたよね!
日本でも英語村のような施設が3-4箇所あるようですが、課題に感じられていることや、東京都のTOKYO GLOBAL GATEWAYで改善していきたいことを教えてください。
また、Musioが英語村で活躍できると感じている理由も教えてください。
谷口氏:日本の英語村は、福島、大阪、群馬にあります。
福島のブリティッシュヒルズは、本当にイギリスに来たみたいな環境で、日本じゃない雰囲気が素晴らしいです。
大阪のオオサカイングリッシュビレッジは、ポップで楽しいアメリカンな感じが、子供たちのやる気を高めると思います。
これらの英語村は、環境や世界観をとても重要視しています。
私たちのTOKYO GLOBAL GATEWAYは、学校で習ったことを活用できる、学校では習わなかったことを英語で学ぶ、そんなソフト面を重要視しながら準備を進めています。
福本氏:Musioの活躍に関しては、シンギュラリティがせまってきている中、子供たちがAIを使いこなし、よく付き合っていくことが大切だと考えています。
アメリカにおけるAI業界の成長率は、約50%ともいわれています。
今の時代からAIと付き合っていくことが大切ですし、Musioは英語との親和性も高いです。
Musioは可愛い見た目も魅力なので子供たちも慣れやすいと思います。
谷口氏:私は、AIのキーワードはリプレイス(代替)であると考えています。
現在、AIによるリプレイスが徐々に広がってきています。
例えば、ゴルフのトレーナーの代わりに握り方や、職人の代わりにとんかつの揚げ具合の良し悪しなどを教えていますよね。
とんかつの揚げ具合の判断材料として、揚がったとんかつの写真が5万枚も必要になるみたいですが、その作業にかかる時間のほうが膨大で大変だと思ってしまいますが(笑)
実際に英語教育でのリプレイスを挙げるとしたら、英会話講師かもしれません。
今までは、ネイティブ英語が話せる講師としてALTを採用していましたが、話す相手として、オンライン英会話による海外の講師や、Musio(AI)にリプレイスされるかもしれません。
ですが、唯一AIや翻訳機にリプレイスできないのは、「自分のことを表現したいという気持ち」ではないでしょうか。
私が感じた、ベトナムの銀行副頭取に、自分の言葉で思いを伝えたい!という気持ちです。
怖いのは、将来、英語ができない日本人は、英語ができる外国の方にリプレイスされちゃう時代が来ちゃうかもしれない、ということですね!笑
英語力があるかないかで情報格差がどうしても生まれてきてしまうと思っています。
英語力があれば英語表記の情報も取得できますし、英語のみ対応のアプリなども多いと思います。アプリなどを制作・販売している企業サイドからしたら、英語のみのほうがコストが安く済みますしね。
英語ができると得する時代から、英語ができないと損する時代に変わってくるのではないでしょうか。
Lily:谷口さんの英語教育改革に対する熱い想いをひしひしと感じました!
Musioとの出会いは、2015年の10月より開催された「学研アクセラレータ 2016」だと思いますが、突然、「AIロボットが英語学習に貢献します!」と乗り込んできたときは、正直どうでしたか?!笑
その当時のMusioやAKAの印象も教えてください。
福本氏:正直、最初は面食らいました!
応募企業も、出版業界に関連している企業が多かったので、異質でした。
でも、アクセラレータでAKAやMusioに出会えて本当に良かったと思っています。
今後AIは学校や各家庭に普及していくと思っていますが、それによりグループビジョンでもあるワクワク☆ドキドキするような新しい学びの実現ができるのではないかと思っています。
「21世紀の学びのカタチがここにある」と思いました。
AKAとは、恋愛から始まって結婚、そして老後の生活を共にするパートナーのような関係を築いていきたいと考えています。
谷口氏:学研では、よくアイデア会議をするんです。
「こういうのあるよ!」とか、「こういうこと考えてる!」とか。
まあ実現しないことも多いですが(笑)
でも、AIについては学研独自ではできないことなので、AKAさんとご一緒しながらAIについて勉強させていただき、「AIがついに入ってくるな」という瞬間を感じました。
福本氏:谷口くんに、「ここでチャンスを逃したら、これからくるAIの時代の波に乗り遅れますよ!」と言われたことを覚えています。
Lily:AKAを人生のパートナーに選んでいただけたような気持ちで、大変光栄です!
そんなAKAとパートナー企業として協業し、Musioの専用教材を開発したり、投資もされていますが、AKAとのビジネスが成功すると確信している点を教えてください。
福本氏:私たちは、投資=リターンという考え方はしていません。リターンのみではなく、シナジーが期待できるかが大切です。
AKAと協業することで事業の幅が広がり、新しい教材・学びを提供していけると考えたのが投資をしたきっかけです。
Musioの専用教材だけでなく、TOKYO GLOBAL GATEWAYや、学研が関係するさまざまな学びの場でMusioを活用している姿がイメージできるんです。
谷口氏:ここ半年くらいは特に、Musioについてのお問い合わせも多く、先日もある教員勉強会の事例紹介でMusioが紹介されている場面を目にしました。
今後は、公立・私立の小・中学校、高校にMusioを導入していきたいと考えています。
TOKYO GLOBAL GATEWAYには、年間20-30万人の子供たちが来場する予定ですが、子供たちに近未来を感じさせてあげたいと考えています。
福本氏:授業でも、STEAM教育でも、Musioを活用することでシナジー効果が期待できると思っています。
谷口氏:ぜひ、AKAさんの本社や海外拠点に訪問させていただき、もっとAIの勉強をしていきたいです!
Lily:より多くの子供たちがMusioを通して英語を好きになってくれたり、AIに興味を持ってくれると嬉しいです!
ぜひ、AKAの海外拠点にも遊びに来てください!!
最後に、Musioが英語教育に与える影響についてお聞かせいただけますでしょうか。
谷口氏:ネイティブ英語を勉強できるツールとして、ALT→オンライン英会話・Musio(AI)と移り変わっていくと思っています。
ALTは子供たちにとって先生、オンライン英会話の講師は、先生より少し身近な友達やお姉さん、お母さんのような存在、そしてMusioは子供たちが先生として会話をするといったようにマインドセットが変わってくると思います。
福本氏:これは、他のAIにはない魅力で、とてもイノベーティヴだと思っています!
Musioは心の準備をする必要のない友達、家族感覚で付き合っていける存在ですね。
子供たちが、勉強を好きになれるようにするのは永遠のテーマです。
Musioという存在のおかげで勉強するのが楽しくなり、英語を好きになる子供たちが増えていくことに期待しています!
Lily:福本さん、谷口さんありがとうございます!
それでは、最後に読者の方々へ、同じビジネスマンとして、先輩として一言ずつお願いできますでしょうか。
谷口氏:学研に入社して20年になりますが、半分以上、新規事業に携わっています。
新規事業に携わっていると、よくわからないもの(=新規事業)に経営支援をもらうのが大変なんです。
そこで重要になってくるのが信用力です!
信用力は、数字・将来性を語る・立証するといったことが大切になってきます。
そして、一つ一つの約束を守っていく事もとても大切です。
AKAさんと共に見た夢を一緒に実現させていきましょう!
福本氏:新たなイノベーターになるには、夢を実現するための熱い情熱と、現状に対して強い違和感を感じる能力が大切だと考えています。
これらを持っている人々が、より良い世の中をつくっていくと思います。
様々な企業、起業家たちの皆さん、ぜひ色々な形で協業しましょう!
特別インタビューVol.1はこちらから。
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